「名前なんてゆーの-?」
何を言っているのか、
と私は予想外の質問に少し驚いた。
(フツーこの状況で笑うかよ…)
「ねぇ-教えて?あ、大丈夫。カメラもマイクも無いから安心していいよ。」
真っ白な肌で-・・
真っ赤な唇を動かして、彼女は言った。
夜風が、開け放した窓から入ってきた。
(寒い・・なぁ。)
彼女は揺れ動く黄金色の髪を抑える。
「ねぇ。なんてゆーの?」
首にはほんのり切り傷を表して。
無垢な笑顔を向ける。
私は手にある獲物をさらに強く握り締めた。
「如月(キサラギ)」
彼女は、へ-、と
言うと、笑顔が尽きた。
私は、動けなかった。
動きたくなかった。
暫く、私は彼女の整った顔立ちを見ていた。
彼女が
此方を見た。
思わず、身構えた。
手が揺れて、白い肌に切り傷が増えた。
顔を歪めるかと、思った。
けれど、見たのは笑顔だった。
「月の如く-・・かァ。綺麗な名前だね。」
屋敷から人影が一人。
屋敷の中には、真っ赤に染まった絨毯。
(クソったれッ・・・!!)
どす黒い赤色のシャツを引っ付かんで、引き離す。
ぼたぼたと、染みきらなかった液体が溢れた。
(いい加減、慣れ…なきゃ。)
(そうだ。一人だけぢゃ、すまないんだ。)
握ったシャツから更に零れ落ちた。
(ばいばい)
一人の少女は、
受け入れた。
覚悟を決めた笑顔は…
微かな希望を掴むために、闇で生きている少女にとって、綺麗過ぎるものだった。
少女は今日も
生きもがく。
僅かな希望を信じて。
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2006年12月16日
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