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2006年12月16日

----短編----

「名前なんてゆーの-?」

何を言っているのか、
と私は予想外の質問に少し驚いた。

(フツーこの状況で笑うかよ…)

「ねぇ-教えて?あ、大丈夫。カメラもマイクも無いから安心していいよ。」

真っ白な肌で-・・
真っ赤な唇を動かして、彼女は言った。

夜風が、開け放した窓から入ってきた。
(寒い・・なぁ。)

彼女は揺れ動く黄金色の髪を抑える。

「ねぇ。なんてゆーの?」

首にはほんのり切り傷を表して。
無垢な笑顔を向ける。


私は手にある獲物をさらに強く握り締めた。

「如月(キサラギ)」

彼女は、へ-、と
言うと、笑顔が尽きた。

私は、動けなかった。
動きたくなかった。

暫く、私は彼女の整った顔立ちを見ていた。

彼女が
此方を見た。

思わず、身構えた。
手が揺れて、白い肌に切り傷が増えた。

顔を歪めるかと、思った。
けれど、見たのは笑顔だった。


「月の如く-・・かァ。綺麗な名前だね。」



屋敷から人影が一人。

屋敷の中には、真っ赤に染まった絨毯。


(クソったれッ・・・!!)

どす黒い赤色のシャツを引っ付かんで、引き離す。
ぼたぼたと、染みきらなかった液体が溢れた。


(いい加減、慣れ…なきゃ。)

(そうだ。一人だけぢゃ、すまないんだ。)

握ったシャツから更に零れ落ちた。

(ばいばい)

一人の少女は、
受け入れた。

覚悟を決めた笑顔は…

微かな希望を掴むために、闇で生きている少女にとって、綺麗過ぎるものだった。


少女は今日も
生きもがく。

僅かな希望を信じて。
posted by 東堂壱弥 at 20:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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